ぱるば訳著書一覧

 縁あって、十年ばかり、本づくりにかかわってきた。
 多くは我が師オショー説法録の翻訳である。1986年から始めて12年間に12冊ほど出版された。翻訳裏談義についてはオショーを翻訳するということを参照。
 それから拙著が約一冊。あんまり売れないけど、なかなかの傑作である。


『ヴィギャン・バイラヴ・タントラ』シリーズ

 オショーのボンベイ時代、1972年10月から約一年間にわたって語られた全八十回からなる説法シリーズ。原書はかつてBook of the Secrets (秘法の書・全五巻)として刊行され、世界中の探求者に大きな影響を与えてきた。

 シヴァによって与えられたという五千年前の瞑想技法集『ヴィギャン・バイラヴ・タントラ』を題材に、若きオショーが縦横無尽に語る。
 その内容は、瞑想はもとより、宗教、哲学、芸術、心理、愛、セックス等、およそ人間生活にかかわる全般にわたっており、随所にオショーならではの透徹した叡智が輝いている。様々なエピソードやジョークをおりまぜ、巧みに人々を瞑想の世界へといざなってくれる。

 オリジナルのシリーズは各八話、全十回シリーズで構成されており、邦訳は各シリーズ一巻の計十巻となっている。93年秋に第一巻『内なる宇宙の発見』が上梓され、98年春『空の哲学』出版をもって完結。
 オショーの説法は毎回完結の読み切り篇であるから、本シリーズについても、必ずしも第一巻から読まねばならないというわけではない。おもしろそうな巻を適宜にピックアップして読めば良い。
 

第一巻 内なる宇宙の発見

1972年10月、インド・ボンベイでの説法。
瞑想技法  様々な呼吸の技法、第三の目にかんする技法、愛の技法、無重量の技法 .
質疑応答 タントラとヨガの違い、仕事をしながらいかに覚醒するか、どうやって夢見を超えるか .
主なトピック 瞑想技法とのつきあい方、愛と瞑想、演技としての人生、突然の悟りと瞑想技法。
市民出版社 2500円

第二巻 源泉への道

1972年11月、インド・ボンベイでの説法。
瞑想技法 身体内部を視覚化する技法、中庸の技法、ハートの技法、乗り物の技法
質疑応答 ハートの活性化、師による伝授について、愛だけで十分か
主なトピック 悟った人の表現手段、禁欲について、愛と情欲、瞑想と努力
市民出版社 2500円

第三巻 第三の眼

1972年12月、インド・ボンベイでの説法。
瞑想技法 ストップの技法、喪失の技法、献身の技法、様々な「見る」技法
質疑応答 タントラと肉体、自分のタイプの見分け方、第三の目、心霊的パワー
主なトピック 聖者と動物、ブッダの不安、愛と献身、ブッダの愛、死について
市民出版社 2500円

第四巻 沈黙の音

1973年1月、インド・ボンベイでの説法。
瞑想技法 音に関する様々な瞑想法、言葉による瞑想法、自分の名前を使う瞑想法
質疑応答 本能の抑圧、マントラ、耽溺と抑圧の違い、セックスの体位と瞑想
主なトピック 音楽と瞑想、師への明け渡し、サニヤシンと社会、性エネルギーの変容
市民出版社 2500円

第五巻 愛の円環

1973年2月、インド・ボンベイでの説法。
瞑想技法 セックスに関する瞑想法、自己想起の技法、世界を劇にする技法
質疑応答 セックスと瞑想、仏性はいつ現れるのか、爆発的浄化について
主なトピック タントラ的性行為、肯定性と否定性、導師と弟子、悟りと段階性
市民出版社 2500円


第六巻 覚醒の深みへ

1973年3月、インド・ボンベイでの説法。
瞑想技法 強い感情とともにする瞑想法、裁かない瞑想法、光を使った瞑想法
質疑応答 道徳と瞑想、現代人と愛について、悟った人は夢を見るか。
主なトピックくしゃみと性行為、変化を通じて不変を見つける、精神性と欲求
市民出版社 2500円

第七巻 光と闇の瞑想 (1996/11/10)

 1973年5月、インド・ボンベイでの説法。

 思えば本シリーズの第一巻「内なる宇宙の発見」が出版されたのが、ちょうど3年前のこと。
困難といわれるシリーズ物説法集の、最長不倒距離を更新中だ(今までの記録は、絶版となった「Tao:永遠の大河」の全4巻)。

 このシリーズは初期のものだけに、より一般の人にも入りやすい性格をもっている。
 各巻8話ずつの構成になっているが、これはオリジナルの説法が8説法を1ブロックとして10回おこなわれたからだ。ボンベイのマンションのリビングで、百人ほどの人々を前にしてオショーが語る――。当時のテープを聞くと、その語り口はかなりスピーディだ。

 聴講者は各回ごとに募っているから、各巻ともかなり独立した性格を持っている。先にも書いた通り、どの巻から読んでもらってもいっこうかまわない。まだ読んだことのない人は、まあこれも何かの縁だから、本巻から始めてみたら。 市民出版社 2500円

第八巻 存在とひとつに (1997/4/25)

 1973年7月、インド・ボンベイでの説法。

 前巻の『光と闇の瞑想』が出たのは昨年11月だから、5カ月ぶりの続刊。

 今回は原稿をインドのオショー コミューンに持っていって推敲し、インターネット経由で東京へ送るという、ハイテク時代にふさわしい本づくりとなった。(インド de インターネット参照。ついでに言うと、ブッダの言葉を魔法によってはるばるインドからもたらしたという意味で、このパソコンも孫悟空と呼ばれるようになるのである。)

 ひさしぶりに「訳者あとがき」も書いたのでよろしく。タイトルの『存在とひとつに』およびピンクを基調としたカバーデザインは、「今回は女性向きに」という出版社の意向でこうなった。
どうかな? 女性のみなさん。 市民出版社 2500円

第九巻 生の神秘 (1997/9/27)

 1973年8月、インド・ボンベイでの説法。

 あいかわらず市民出版社らしい地味なタイトリングで、まず記憶には残るまい。ただカバーデザインはスワミ・タブダールの担当で、いつもながらシックな出来上がりになっている。この調子で第十巻もやってほしいものだ。

 ちょうど来日中だったオショーのインド秘書ニーラムに本書を見せたところ、いたく気に入ったらしい。「ステキな仕上がりね。オショーの様子が目に浮かぶようだわ……きっとこの本を手にして、『mmm...this is beautiful!』と言ったことでしょう」なんてコメントしてくれた。感謝! まっ、本書に限らないんだけどね。日本のオショー本のデザインは総じて美しい。翻訳のほうもそれに負けないようにガンバラなくっちゃ。

 内容の方は改めてご紹介するまでもあるまいが、やっぱりオショーなのだ。いつもながらドキッとするようなことを言ってくれる。たとえば、「弟子たちはいつも導師をめぐって戦い続ける。誰も自分の導師のことを二番目だとは思わない。自分の師はいつも一番だ。でも師が一番であるかどうかは、実はどうでもいい。自分の師が一番であれば、自分もまた一番になれる。それこそが肝心な点だ」……なんてね。オレも身につまされるよ。 市民出版社 2500円

第十巻 空の哲学 (1998/5/29)

 1973年11月、インド・ボンベイでの説法。

 1993年10月に刊行が始まった当シリーズ。四年半たってこの(98年)5月にめでたく完結した。

 写真を見てもおわかりのとおり、なかなか洒落た仕上がりだ。『空の哲学』というタイトルがイカしているし、白をベースにしたブックデザインもいい(designed by タブダール)。帯の色合いもいい。さっそく、本の雑誌『ダヴィンチ』の最新号にも採り上げられたそうだ。

 思えば今から十二年前、東京・目黒にあったイア瞑想センターに初めて出かけたおり、紹介されたのが本書だった。瞑想法についての本が欲しいと言ったら、センターの人が書棚から本を何冊か取り出してきて、目の前にドサッと積み上げたのだ。もちろん全部英語。「これぜんぶ読むの?」と内心途方にくれたものだ。「The Book of the Secrets」という全五冊のオショー説法集だった。

 その四ヶ月後、オレはオショーの弟子となってヨーロッパから戻ってくる。
 ヒマだったから、師の本の翻訳をしたいと思った。
 そのとき、ある先輩サニヤシンから、「これ翻訳しない?」と持ちかけられたのが、この「The Book of the Secrets」だった。

 以来、家で、仕事場で、プーナのコミューンで、うまずたゆまず翻訳に携わった。
 別に、「全巻翻訳しよう」とか「ぜひ世に出そう」とかいう強い意志が働いたわけではない。
 ただひとりでに物事が進んでいった。

 だから十巻完結した今も、とりたてて深い感慨があるというわけでもない。
 たぶんオレが翻訳したんじゃないんだろう。
 本シリーズを十冊並べると、背に師のサインが現れる
 オショーの主著と見なされる作である。  市民出版社 2500円

ヴィギャン・バイラヴ・タントラ「112の瞑想カード」(1998/5/29)

 98年5月に完結した「ヴィギャン・バイラヴ・タントラ」シリーズの関連図書。シリーズに登場する百十二の瞑想技法が一枚ずつのカードに収められ、オショーコミューンのアーティストたちによって絵がつけられている。
 この百十二枚のカードセットはもともと、英語版「ヴィギャン・バイラヴ・タントラ」に付属していたものだ。それが、原書の翻訳出版完結を機に日本語化され、単体での発売となった。

 カードのそれぞれに、瞑想技法と訳書中の掲載ページが載っている。
 タロットカードの要領で一枚選び、訳書の当該ページを開き、そこに書かれているオショーの指導のもとに瞑想を体験してみるというわけ。
 だからこのカードを使うときには、シリーズ全十巻を揃えておくのが望ましい。

 ただ、まだ十巻揃えていない人のために、本セットにはスペシャル付録として「解説書」がついている。
 これは各技法に関するオショーの解説を抜粋した小冊子で、なかなかコンパクトにできている。

 この「抜粋集」はじつのところ、私ぱるばの秘密兵器だったのだ。瞑想イベントなどでタントラ瞑想の指導をするとき、アンチョコとして、コレを使っていたというわけ。
 それを目にした市民出版社の社長・犀川パトラが、解説書として付録につけてしまったのだ(ムム、なかなかのビジネスセンス)。
 おかげで私のトラ巻が白日の下に晒されてしまった。 市民出版社 4800円


 ノーマインド・永遠の花々

1988年12月-1989年1月 インド・プーナでの説法

 プーナのオショーコミューンでおこなわれたオショー 最晩期の説法集。オショー の肉体に仏陀の魂が入り込んだという話から始まり、長年使った「バグワン」という名前を捨て去ったり、日本の女性見者が登場したりで、まさに奇想天外、波乱万丈の痛快大活劇。

 ベースは禅説法で、毎回禅の公案がいくつか登場し、また俳句も紹介されるという具合で、日本人にもなじみの深いシリーズになっている。ただ、より一般向けに語られた前期の説法集とはかなり趣を異にしているので、普通の人はちょっと戸惑うかもしれない。
 その意味で本書はたぶん、長くオショー を知っているサニヤシン(Osho弟子)向けといえるだろう。

 六十点近く出版されている邦訳説法集の中では、装丁といい、図版数といい、価格といい、今のところ一番の豪華本となっている。たぶん増刷されることはないと思われるので、早いところお求めになったほうがいいだろう。

壮神社 4800円



 禅宣言 (1998/4/26)

 カバーにも見るとおり、オショー最後の説法集。1989年2月20日から4月10日までの間に、インド・プーナのオショーコミューンで語られたものだ。全部で十一章からなっている。オショーは別にこれで説法を止めようと思ったわけでもないらしい。でも体調とかの問題もあって、結局おおやけの場で語ったのはこれが最後になった。

 この説法集については今までも本ホームページ上にいろいろ書いたので、くわしくはそちらに譲るが、ここまで来るまでにはいろいろあったのだ。そもそも本書は三年前、講談社が出版に意欲を見せていたのだが、某宗教団体のスキャンダルなどもあってお蔵入りになるという経緯もあった。
 その後、市民出版社が乗り出し、このたびの出版となった。ブックデザインはおなじみのタブダールだが、これがなかなか大変な作業だったらしい。というのも本書はウパニシャッド(喜納昌吉)の強い意向によって生まれたのだが、彼にはまたデザイン的なこだわりがあったようだ。それで写真とか題字とか構成にいろいろ注文があったらしい。(訳文には注文がなくてよかった)。

 ま、それもあってか、オショー最後の説法集にふさわしい、美しい本に仕上がっている。ちなみにこのカバー写真は、プーナ・コミューンにあるオショーサマーディ(霊廟)に飾られているものだ。照稿者モンジュの協力もあって、訳文もなかなかいいんじゃないかと思っている。さて、日本にオショー禅の花が咲くであろうか。 市民出版社 2880円



 ◆拙著◆ タッサーシルクのぼんぼんパンツ (1998/2/19)

 変な題名であるが、要するに、日本とインドで布づくりに励む女たちを題材に書いた本。主人公は、染織デザイナーMa Prem Shakti(文中ではチアキ)と、その妹で同じく染織デザイナーのMa Prem Diksha(カオリ)、そしてインド人パートナーのニルー・クマール。私ぱるばもときどき出てくる。
 これが、けっこう反響を呼んでいるのだ。先週も朝日タウンズ(朝日新聞にはさみこまれるマガジン)多摩版に書評が載ったし……。昨年末には、どういうわけか北海道新聞の記者がこの本を読んで取材に来て、「田中ぱるば」氏は写真入りで「著者紹介」コーナーに登場することになる。

 じつは昨日、久しぶりにこの本を読んでみたんだけど、われながらなかなかケッサクだと思った。書き始めたのが去年の始めごろ。ちょうどインドにいたときだ。オショーコミューンにほど近い自室で、夜な夜な書きつづっていたことを思い出す。
 この作業がけっこう楽しかった。正直言って、オショーの説法を翻訳するより楽しかった。オショーの説法だと、あんまり勝手なまねはできないからね。ところが自分の作品なら、あることないこと、なんでも書き放題。あとで知人たちから、「よくこんなことまで書いたねえ」とか言われたものだ。
 なんとこの本、日本図書館協会選定図書にまでなってしまった。「図書館に置いて広く一般大衆に読まれるべき良書」というお墨付きをもらったわけだ。オショーが登場する本で図書館協会の選定になったのは、おそらくほかにないんじゃないかと思う。

 実際この本、主人公はいちおう三人の女たちだが、カゲの主人公はオショーだと思っている。オショー自身はそんなに出てこないんだけど、文章のスタイルとして、できるだけ覚醒を保ち、同化せず、観照者として書くように努めた。書評などではその点について「ユーモラスな語り口」とか「独特の文体」とか言われるのだが、私としては、このなんとなく瞑想的なところを感じとってほしいと願っている次第。 市民出版社 1900円



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